リモートワークで体調が変わった?「自分のせい」にする前に観察したい3つの環境変化

「なんとなくだるい」は、あなたのせいじゃないかもしれない

リモートワークが日常になって、1年、2年。

ふと気づくと「なんとなくだるい」「肩こりがひどい」「少し太った」——そんな変化を感じていませんか。

私自身、リモートワークに切り替わってしばらく経ったころ、同じようなことを感じていました。

意志が弱いのかな、運動不足を放置した自分が悪いのかな、と。

でもあるとき、スマートフォンの歩数データを数ヶ月分さかのぼって見たんです。

通勤していた頃と比べて、活動量が半分以下になっていました。

正直、驚きました。

サボっていたわけじゃない。

1日の構造がまるごと変わったことに、ただ気づいていなかっただけでした。

体調の変化を「自分のせい」にする前に、まず環境がどう変わったのかを眺めてみる。

この記事では、リモートワークで起きやすい3つの環境変化を整理します。

リモートワークで起きている3つの環境変化

①活動量の激減:通勤という「無意識の運動」が消えた

通勤していた頃、駅まで歩いて、階段を上って、乗り換えて。

意識しなくても1日あたり約3,000〜4,000歩は稼げていた、という方は少なくないはずです。

在宅勤務になると、この「無意識の運動」がごっそり消えます。

Wilmsらの2022年の研究では、在宅勤務への移行で座位行動が16%増加し、身体活動が17%減少したと報告されています。

軽い活動に限ると26%減、中高強度では20%減という数字です。

1日の歩数が1,000歩変わるだけでも、全死因死亡率との関連が示唆されているという報告もあります(Hall et al., 2020)。

数字で見ると、通勤の消失が思った以上に大きな変化だったことが分かります。

②日光の喪失:午前中の光を浴びなくなった影響

出社していた頃は、朝の通勤で自然と日光を浴びていました。

リモートワークでは、起きてすぐデスクに向かい、気づいたら昼過ぎまで室内——ということが珍しくありません。

光は体内時計の主要な同調因子とされています(Blume et al., 2019)。とくに午前中の光が概日リズムを整える役割を担っているという知見があります。

屋内労働者のビタミンD欠乏率は78%にのぼるという報告もあり(Sowah et al., 2017)、日光に触れない時間の長さは、体調に静かに影響している可能性があります。

ビタミンDと体調の関係は奥が深いテーマなので、ここでは「午前中に光を浴びる機会が減った」という事実だけ押さえておきます。

③姿勢の固定化:移動ゼロで連続座位が長時間に

オフィスなら、会議室への移動、ランチに出かける、同僚のデスクまで歩く。

こうした小さな移動が、座りっぱなしの時間を自然に区切っていました。

リモートワークでは、Zoomを閉じたら次のZoom。

移動がゼロのまま、2〜3時間座り続けることが普通になります。

Lohらの2020年のメタ分析では、座位の中断を挟むことで食後血糖値やインスリン反応が改善したと報告されています。

Dunstanら(2012)も、軽〜中強度の歩行による座位中断が食後の血糖値低下と関連することを示しています。

問題は「座っていること」そのものより、「途切れなく座り続ける構造」にあるのかもしれません。

「改善」より先に「観察」を:1週間だけ記録してみる

ここまで読んで、「じゃあ運動しなきゃ」と思った方もいるかもしれません。

でも、ちょっと待ってください。

いきなり改善に走るより、まずは今の自分がどうなっているかを眺めてみるだけで十分です。

スマートフォンの歩数、座っている時間、朝に外の光を浴びたかどうか。

1週間分だけ、なんとなく意識してみる。

記録は完璧じゃなくていい。

「今日は3,000歩だった」「午前中ずっと室内だった」くらいのメモで十分です。

データを判断ではなく視点として使うという考え方が、ここで役に立ちます。

数字を見て自分を責めるのではなく、「環境がこう変わったから、体がこう反応しているのかも」と眺める。

その視点に切り替えるだけで、記録の重さがずいぶん軽くなります。

データを点ではなく流れで見ると、1日の数字に一喜一憂しなくなります。

1週間の傾向が見えてくると、「意外と午前中に外に出てないな」「水曜日だけ歩数が極端に少ないな」といったパターンに気づくことがあります。

活動量と血糖値の関係や、睡眠の質と体調データのつながりも、観察を続けるなかで見えてくるテーマです。

記録を続けるほど、点と点がつながってきます。

まとめ:環境を知ることが、体との付き合い方を変える

リモートワークで感じる体調の変化は、あなたの意志が弱いから起きているわけではありません。

通勤がなくなり、日光に触れる機会が減り、移動ゼロで座り続ける構造に変わった。

1日の設計がまるごと変わったのだから、体が反応するのは当然のことです。

改善策はあとからいくらでも考えられます。

まずは、自分の1日がどう変わったのかを観察するところから。

1週間、歩数と座位時間と日光をなんとなく記録してみてください。

それだけで、体調との向き合い方が少し変わるかもしれません。

参考になれば幸いです。

免責事項
この記事は個人の経験と考え方を共有するものであり、医療アドバイスではありません。体調に関する心配ごとや疑問は、医師や医療専門家にご相談ください。

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