「超加工食品は体に悪い」と聞いて不安になったものの、何がどこまで超加工食品なのかわからない。
そんな方に向けて、食品の加工度を4段階で分類する「NOVA分類」を使い、超加工食品の定義と現実的な付き合い方を整理します。
超加工食品とは?——定義が曖昧な理由

「超加工食品」という言葉は、日本のニュースでも頻繁に登場するようになりました。
しかし、この言葉には法的な定義がありません。
日本の食品表示法にも、厚生労働省のガイドラインにも「超加工食品」という分類は存在しないのです。
では、誰がこの概念を作ったのでしょうか。
2010年、ブラジル・サンパウロ大学の栄養学者Carlos Monteiroらが提唱した「NOVA分類」が出発点です(Monteiro et al., 2010, PMID: 21180977)。
食品を「何からできているか」ではなく「どのくらい加工されているか」で分類するという、従来とは異なるアプローチでした。
日本で混乱が生まれやすいのは、この分類が「超加工食品=体に悪いもの」という単純な善悪論として伝わりがちだからです。
実際にはもう少し構造的な話で、理解するにはNOVA分類の全体像を見る必要があります。
NOVA分類とは——4段階で「加工度」を理解する

NOVA分類は、食品を加工の程度と目的によって4つのグループに分けます。
2016年の改訂で現在の4グループ体系に整理されました(Monteiro et al., 2018, PMID: 28322183)。
| グループ | 分類名 | 定義 | 具体例 |
|---|---|---|---|
| 1 | 未加工・最小限加工食品 | 自然のまま、または乾燥・冷凍・粉砕・殺菌など最小限の処理のみ | 果物、野菜、肉、魚、卵、牛乳、米、豆類 |
| 2 | 加工食品材料 | グループ1から圧搾・精製などで得た物質。調理に使うもの | 油脂、バター、砂糖、塩、小麦粉 |
| 3 | 加工食品 | グループ1にグループ2を加えて加工した食品。元の食品が認識できる | 缶詰の魚・野菜、チーズ、シンプルなパン、漬物 |
| 4 | 超加工食品 | 工業的に製造された配合食品。食品から抽出・合成された物質と添加物で構成 | 即席麺、菓子パン、清涼飲料水、ソーセージ、スナック菓子 |
ポイントは、これが「良い・悪い」の二択ではなく、グラデーションであるという点です。
グループ1〜3:日常の調理の延長
グループ1は、りんごをそのまま食べる、鶏肉を焼く、米を炊くといったレベルです。
グループ2はその調理に使う油や砂糖、塩。
グループ3は、それらを組み合わせて保存性を高めたもの——缶詰やチーズ、シンプルなパンなどが該当します。
ここまでは、家庭の台所でも再現できる加工の範囲です。
グループ4:超加工食品の特徴

グループ4の超加工食品には、明確な特徴があります(Monteiro et al., 2019, PMID: 30744710)。
まず、原材料の構成が異なります。
グループ1の食品がそのまま含まれていることは少なく、食品から抽出・分画された物質(加水分解タンパク質、果糖ブドウ糖液糖、マルトデキストリンなど)が主体です。
次に、家庭では使わない添加物が含まれます。
香料、乳化剤、増粘剤、着色料、甘味料など、最終製品を食べやすく魅力的にするための「美観用添加物」と呼ばれるものです。
実用的な見分け方として、原材料表示を見たとき「家庭の台所では使わない物質」が1つでも入っていれば超加工食品と判定できる、という基準が提案されています。
身近な超加工食品を挙げると、カップ麺、菓子パン、炭酸飲料、ポテトチップス、冷凍ピザ、ソーセージ、マーガリンなどです。
日本の食卓でよく見かけるものも少なくありません。
超加工食品の健康影響——研究が示していること

2024年、BMJに発表されたアンブレラレビューは、45の統合解析(約990万人のデータ)を評価し、超加工食品と32の健康指標との関連を報告しました(Lane et al., 2024, PMID: 38418082)。
エビデンスの確実性が最も高い「Class I(確信的)」とされたのは、心血管死亡リスクの50%増加と2型糖尿病リスクの増加です。「Class II(強く示唆的)」には、全死亡リスクの21%増加、うつ病、肥満、睡眠障害などが含まれます。
2025年のLancet三部作では、43名の国際的専門家が参加し、超加工食品が伝統的な食事パターンを置き換えていること、食事全体の質を低下させること、複数の慢性疾患リスクを増大させることを3つの仮説として検証しました。
いずれも支持される結果が得られています(Monteiro et al., 2025, PMID: 41270766)。
また、唯一のランダム化比較試験(RCT)として知られるHallらの研究では、超加工食品の食事では1日あたり508kcal多く摂取し、2週間で約0.9kg体重が増加したと報告されています(Hall et al., 2019, PMID: 31105044)。
食べる速度も有意に速く、超加工食品が過食を誘発しやすい特性を持つことを示唆するデータです。
わかっていないことも正直に
一方で、研究にはまだ未解決の問題があります。
最大の論点は、「加工そのものが体に悪いのか、それとも超加工食品を多く食べる食生活全体の質が低いのか」という区別がついていないことです(Barbaresko et al., 2025, PMID: 38363072)。
さらに、超加工食品というカテゴリの中にも差があります。
加糖飲料や加工肉は一貫してリスク上昇と関連していますが、ヨーグルトや全粒穀物パンのように逆の関連(リスク低下)を示すものもあります(Mendoza et al., 2024, PMID: 39286398)。
すべての超加工食品を同列に扱うことには限界があるというのが、現時点での科学的な見方です。
腸内環境への影響については、超加工食品が食物繊維の摂取を減らし、食事全体の質を下げる経路が指摘されています。
この点は腸活に「いい食べ物」は本当にいいのかや食物繊維の摂り方を見直すでも扱っていますので、あわせてご覧ください。
「全部避ける」は現実的か?——超加工食品との付き合い方を割合で考える

ここまで読んで、「やっぱり超加工食品は怖い」と感じた方もいるかもしれません。
しかし、日本の成人を対象にした研究では、超加工食品からのエネルギー摂取は約28〜38%とされています(Koiwai et al., 2019, PMID: 31218993 ; Shinozaki et al., 2023, PMID: 36904297)。
アメリカやイギリスの50%超よりは低いものの、食事の3〜4割を占めている計算です。
これを明日からゼロにするのは現実的ではありません。
忙しい朝にコンビニのおにぎりやサンドイッチを買うこと。
疲れた夜に冷凍食品に頼ること。それ自体が「悪」ではないはずです。
朝食は「食べるべき」でも「食べないべき」でもないのと同じように、超加工食品にも単純な正解はありません。
注目したいのは、用量反応関係のデータです。
全死亡リスクのメタ分析では、超加工食品のエネルギー比率が10%増えるごとにリスクが10%上がるという線形の関係が確認されています(Liang et al., 2025, PMID: 40033461)。
裏を返せば、10%減らすだけでも有意なリスク低下が期待できるということです。
実際、超加工食品を段階的に減らすパイロット介入研究では、8週間で超加工食品からのカロリーが49%減少し、平均3.5kgの減量、添加糖50%減という結果が出ています。
参加者の85%が「非常に満足」と回答しました(Hagerman et al., 2024, PMID: 39654611)。
大事なのは「全排除」ではなく「割合の調整」です。
カロリー計算との新しい付き合い方で触れたように、数字は敵ではなく判断の道具です。
超加工食品の割合も同じように使えます。
「変えなくていいこと」を見つける視点でも書きましたが、全部を完璧にする必要はありません。
サプリに疲れたあなたへで触れた「完璧主義を手放す」という姿勢は、超加工食品との付き合い方にもそのまま当てはまります。
超加工食品を「見える化」する——1日の食事をNOVA分類で分けてみよう

難しく考える必要はありません。
今日食べたものを、NOVA分類の4段階で分けてみてください。
たとえば、朝食に食パンとバターとコーヒー、昼食にコンビニのカップ麺、夕食に自炊の焼き魚と味噌汁を食べたとします。
- 焼き魚、味噌汁の具材(豆腐・わかめ) → グループ1
- バター、味噌、塩 → グループ2
- 食パン(シンプルなもの) → グループ3
- カップ麺 → グループ4
こうして並べてみると、「何が超加工食品で、何がそうでないか」が見えてきます。
全部がグループ4だったとしても、それは「悪い食生活」のレッテルではなく、「どこに調整の余地があるか」を知る手がかりです。
まずは1食だけ、グループ1の食品を増やしてみる。それだけでも十分な第一歩です。
まとめ——超加工食品は「敵」ではなく「管理対象」

超加工食品とは、NOVA分類のグループ4に該当する、工業的に製造された配合食品のことです。
即席麺、菓子パン、清涼飲料水、スナック菓子など、私たちの食生活に深く入り込んでいます。
研究は、超加工食品の高い摂取割合が複数の健康リスクと関連していることを示しています。
ただし、すべての超加工食品が一様に有害とは限りません。
「加工そのものが悪いのか、食事全体の質の問題なのか」はまだ決着がついていない論点です。
確かなのは、「食べたらアウト」ではなく、「割合で管理する」という視点が現実的だということです。
10%減らすだけでもリスクは下がる可能性があります。完全排除を目指す必要はありません。
日本の食卓に多い超加工食品の具体的な一覧や、コンビニ食との現実的な付き合い方については、今後の記事で詳しく取り上げていきます。
免責事項: この記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の食事療法や医療的アドバイスを意図するものではありません。疾患をお持ちの方や食事に関する不安がある方は、医師や管理栄養士にご相談ください。
参考文献
- Monteiro CA, Levy RB, Claro RM, de Castro IRR, Cannon G. A new classification of foods based on the extent and purpose of their processing. *Cadernos de Saúde Pública*. 2010;26(11):2039-2049. PMID: [21180977]
- Monteiro CA, Cannon G, Moubarac JC, Levy RB, Louzada MLC, Jaime PC. The UN Decade of Nutrition, the NOVA food classification and the trouble with ultra-processing. *Public Health Nutrition*. 2018;21(1):5-17. PMID: [28322183]
- Monteiro CA, Cannon G, Levy RB, et al. Ultra-processed foods: what they are and how to identify them. *Public Health Nutrition*. 2019;22(5):936-941. PMID: [30744710]
- Lane MM, Gamage E, Du S, et al. Ultra-processed food exposure and adverse health outcomes: umbrella review of epidemiological meta-analyses. *BMJ*. 2024;384:e077310. PMID: [38418082]
- Monteiro CA, Louzada MLC, Steele-Martinez E, et al. Ultra-processed foods and human health: the main thesis and the evidence. *Lancet*. 2025;406(10520):2667-2684. PMID: [41270766]
- Hall KD, Ayuketah A, Brychta R, et al. Ultra-Processed Diets Cause Excess Calorie Intake and Weight Gain: An Inpatient Randomized Controlled Trial of Ad Libitum Food Intake. *Cell Metabolism*. 2019;30(1):67-77.e3. PMID: [31105044]
- Barbaresko J, Bröder J, Conrad J, et al. Ultra-processed food consumption and human health: an umbrella review of systematic reviews with meta-analyses. *Critical Reviews in Food Science and Nutrition*. 2025;65(11):1999-2007. PMID: [38363072]
- Mendoza K, Smith-Warner SA, Rossato SL, et al. Ultra-processed foods and cardiovascular disease: analysis of three large US prospective cohorts and a systematic review and meta-analysis of prospective cohort studies. *Lancet Regional Health Americas*. 2024;37:100859. PMID: [39286398]
- Liang S, Zhou Y, Zhang Q, Yu S, Wu S. Ultra-processed foods and risk of all-cause mortality: an updated systematic review and dose-response meta-analysis of prospective cohort studies. *Systematic Reviews*. 2025;14:53. PMID: [40033461]
- Hagerman CJ, Hong AE, Jennings E, Butryn ML. A Pilot Study of a Novel Dietary Intervention Targeting Ultra-Processed Food Intake. *Obesity Science & Practice*. 2024;10(6):e70029. PMID: [39654611]
- Koiwai K, Takemi Y, Hayashi F, et al. Consumption of ultra-processed foods decreases the quality of the overall diet of middle-aged Japanese adults. *Public Health Nutrition*. 2019;22(16):2999-3008. PMID: [31218993]
- Shinozaki N, Murakami K, Masayasu S, Sasaki S. Highly Processed Food Consumption and Its Association with Anthropometric, Sociodemographic, and Behavioral Characteristics in a Nationwide Sample of 2742 Japanese Adults. *Nutrients*. 2023;15(5):1295. PMID: [36904297]
