ビタミンDサプリの選び方|「どれがいい」の前に知っておきたい3つのこと

ビタミンDサプリは「どれがいい」の前に、判断基準を持つ

Amazonで「ビタミンD」と検索すると、膨大な数の商品が出てきます。

1,000IU、2,000IU、5,000IU。D2、D3。

カプセル、タブレット、グミ。

数字とアルファベットが並んでいるのに、自分に合うものがどれなのか、さっぱりわかりません。

ランキング記事を開いても「おすすめ1位!」の根拠がいまいちピンとこない。

以前、このシリーズで冬場のビタミンD不足と舞茸という選択肢について書きました。

食事からのアプローチとして舞茸を紹介しましたが、正直なところ、ビタミンDは食事だけで十分量を確保するのが難しい栄養素です。

だからこそ、サプリという選択肢を避けて通れません。

ただ、「とりあえずランキング1位のやつ」で決めてしまう前に、知っておきたいことが3つあります。

D2とD3の違い、適正量の考え方、そして過剰摂取のリスク。

この3つの判断軸があれば、自分で選べるようになります。

なぜビタミンDだけ「サプリが合理的」と言えるのか

このシリーズでは基本的に「まず食事から」というスタンスを取ってきました。

サプリの「正しい使い方」という思い込みを見直すでも書いたとおり、サプリに飛びつく前に食事を見直すのが先です。

でも、ビタミンDに関しては事情が違います。

東京慈恵会医科大学が健康診断受診者5,518人を対象に行った調査(2019〜2020年)で、98%がビタミンD充足基準(血中25(OH)D濃度30ng/mL以上)に達していなかったという結果が出ています。

98%です。ほぼ全員が足りていない。

なぜこれほど不足するのか。

理由は、ビタミンDの供給源が特殊だからです。

他の栄養素は食事を工夫すれば概ねカバーできます。

ビタミンB群とは?──8種類の役割と不足しやすい人の特徴でも書きましたが、B群は普通の食事をしていれば大きく不足することは少ない。

ところがビタミンDの主な供給源は日光です。

皮膚が紫外線(UVB)を浴びることで体内合成されます。

国立環境研究所の研究によると、ビタミンD 5.5μgを生成するのに必要な日光浴時間は、7月の正午でつくば約3.5分ですが、12月になると約22.4分。

札幌に至っては76分以上かかります。

冬の日本では、日光だけに頼るのは現実的ではありません。

では食事はどうか。

ビタミンDを多く含む食品は魚介類に偏っています。

紅鮭の焼き物なら100gあたり38.4μg、さんまなら28μg。

ただし、日本人の食事性ビタミンD摂取の70.9%が魚由来というデータがあり、魚を毎日食べない人は圧倒的に足りません。

令和元年の国民健康・栄養調査でも、平均摂取量は男性7.4μg/日、女性6.4μg/日で、目安量の8.5μgを下回っています。

日光も限られ、食事でも届きにくい。

ビタミンDがサプリの合理的な対象になる理由はここにあります。

ビタミンDサプリのD2とD3の違い──「D3を選べ」の理由

サプリのラベルを見ると、「ビタミンD2」と書いてあるものと「ビタミンD3」と書いてあるものがあります。

何が違うのか。

D2(エルゴカルシフェロール)は植物・菌類由来で、きのこ類に含まれる形態です。

D3(コレカルシフェロール)は動物由来で、魚に含まれる形態であり、私たちの皮膚が日光を浴びて合成するのもこちらです。

「どっちでも同じでは?」と思うかもしれません。

たしかに、どちらも肝臓と腎臓で活性型に変換される経路は同じです。

ただし、体内での利用効率には差があります。

10件のランダム化比較試験(1,016名)を対象としたメタアナリシスによると、D3はD2と比較して血中25(OH)D濃度を有意に上昇させました(平均差15.23nmol/L)。D3のほうがビタミンD結合タンパク質(VDBP)との親和性が高く、肝臓での25-水酸化効率も優れています。

ただし、毎日継続的に摂取する場合はその差が小さくなるというデータもあります。

「D3のほうが少し優れている」くらいの理解で十分です。

迷ったらD3。これだけ覚えておけば問題ありません。

なお、ビタミンCの役割と自分の適量の見つけ方で触れたビタミンCは水溶性なので、摂りすぎた分は尿として排出されます。

ビタミンDは脂溶性で、体内に蓄積する性質を持っています。この違いは、次のセクションで重要になります。

ビタミンDサプリの適正量──IUとμg、推奨量と上限

サプリのパッケージには「1,000IU」「2,000IU」「5,000IU」といった数字が並んでいます。

まず、この「IU」という単位に慣れておきましょう。

換算はシンプルです。1μg = 40IU。これだけです。

日本の食事摂取基準(2020年版)では、成人の目安量は8.5μg/日(340IU/日)、耐容上限量は100μg/日(4,000IU/日)と設定されています。

ここで注意したいのは、市販サプリの用量です。

用量μg換算目安量との比較
1,000IU25μg目安量の約3倍
2,000IU50μg目安量の約6倍
5,000IU125μg上限量を超える

5,000IUのサプリは、日本の耐容上限量100μg(4,000IU)を超えています。

「多ければ効く」と思って大容量を選ぶと、知らないうちに上限を超えてしまう可能性があります。

大切なのは、「足りない分を補う」という発想です。

食事から平均6〜7μgほど摂れているなら、サプリで補うのは目安量までの差額、つまり1.5〜2.5μg(60〜100IU)程度でも理屈上は足ります。

もちろん、食事からの摂取量には日々ばらつきがあるので、1,000IU(25μg)程度のサプリを選ぶのは現実的な選択です。

いずれにしても、上限の4,000IUを意識しておくことが大事です。

亜鉛の効果を整理する──「万能ミネラル」という誤解を解くでも同じことを書きましたが、栄養素は「たくさん摂れば効く」ものではなく、「足りないものを適正量で補う」ものです。

ビタミンDサプリの過剰摂取リスク──脂溶性だからこそ知っておく

怖がらせたいわけではありません。

ただ、脂溶性ビタミンの性質は理解しておいたほうがいい。

水溶性のビタミンCやB群は、摂りすぎた分が尿として排出されます。

ところがビタミンDは脂溶性で、体内の脂肪組織や肝臓に蓄積します。

排出されにくいのです。

過剰摂取が続くとどうなるか。高カルシウム血症という状態を引き起こす可能性があります。

血中のカルシウム濃度が異常に上昇し、食欲不振、吐き気、疲労感、重症化すると腎機能障害に至ることもあります。

ただし──ここが大事なのですが──通常のサプリ使用で中毒になることはまれです。

研究では、ビタミンD中毒は血中25(OH)D濃度が150ng/mLを超えた場合に発生リスクが高まるとされており、これは通常の1,000〜2,000IU/日の使用では到達しにくい水準です。

問題になるのは、高用量のサプリを自己判断で長期間飲み続けるケースです。

鉄のバランス──多すぎても少なすぎてもで書いた鉄と同じ構造です。

不足も問題だけれど、過剰も問題。だから「ちょうどいい量」を知っておくことに意味があります。

コラーゲンサプリを選ぶ前に知りたいことでも触れましたが、サプリは「飲む前に知っておくこと」が一つあるだけで、付き合い方が変わります。

ビタミンDの場合、それは「脂溶性で蓄積する」という一点です。

持病がある方や薬を服用中の方は、サプリを始める前に医師や薬剤師に相談してください。

まとめ:ビタミンDサプリを選ぶ前に知っておけば、迷いが減る

整理すると、ビタミンDサプリを選ぶ前に知っておきたいことは3つです。

  1. D3を選ぶ。D2よりD3のほうが体内での利用効率が高い。迷ったらD3、それだけで十分です。
  2. 「足りない分を補う」量にする。日本の目安量は8.5μg/日(340IU)、上限は100μg/日(4,000IU)。1,000〜2,000IU程度が現実的な範囲です。5,000IUは上限を超える可能性があることを覚えておきましょう。
  3. 脂溶性だから蓄積する、という性質を忘れない。水溶性ビタミンとは違い、「多めに飲んでおけばいい」は通用しません。上限を意識する習慣を持つだけで、リスクは大幅に下がります。

この3つがあれば、ランキング記事の順位に振り回される必要はなくなります。

「どれがいい」ではなく、「自分に何がどれくらい必要か」。

その視点を持てること自体が、健康データは「判断」ではなく「視点」として見るで書いた精密栄養の考え方そのものです。

もう一つ、吸収について。ビタミンDは脂溶性なので、脂肪を含む食事と一緒に摂ると吸収率が上がります。

研究では、脂肪含有食と一緒に摂取した場合、血漿ビタミンD3のピーク値が32%高くなったという結果が出ています。

食後に飲む、それだけで変わります。

他の栄養素についても知りたい方は、見落としがちなミネラル──マグネシウムの話も参考にしてみてください。

一つの栄養素だけでなく、全体を俯瞰する視点が精密栄養では大切です。

免責事項
この記事は一般的な栄養学の情報を整理したものであり、特定の疾患の診断や治療を目的としたものではありません。サプリメントの使用にあたっては、個人の健康状態や服用中の薬との相互作用を考慮する必要があります。持病がある方、通院中の方は、サプリメントを始める前に必ず担当医にご相談ください。

参考文献

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